2023年6月16日日本銀行金融政策決定会合について
6月16日に植田総裁が就任して2回目の金融政策決定会合が開催されました。短期金利は、マイナス0.1%、長期金利はゼロ%程度で推移するというイールドカーブコントロール(長短金利操作)を維持することに決定しました。もっとも、長期金利については、変動幅をプラスマイナス0.5%としています。これは、長期国債の基準である10年物国債の新発債の利回りが0.5%を超えるようなときは、指し値オペという方法により、金利を0.5%以下になるまで力業で押さえ込むことです。もっと具体的に言いますと、0.5%以下になるまで市場から国債を買い続けるということです。いずれにしても、金融緩和が継続することになりました。以前、日銀で実務にたずさわっておられる方に、「金融緩和はいつまで続けるられるのですか。」とお聞きしたところ、「消費者物価指数が安定的に2%で推移するまで金融緩和を続ける。」というお話をいただきました。その当時は、消費者物価指数は0%から0.3%程度で推移し、ようやく長いデフレからは脱却したとはいえ、まだまだ物価上昇2%の安定的推移には遠い状況でした。それに対し、2022年4月から2023年4月までの消費者物価総合指数は、13ヶ月連続で2%を超えており、最も低い月で2.4%、最も高い月で4.3%です。しかし日銀は、最近の物価上昇は、賃金上昇を伴った物価上昇ではなくエネルギー価格の上昇などによる要因であるとし、まだまだ安定的な物価上昇2%の段階ではないと判断されているものと思われます。次期金融政策決定会合が行われる7月28日には、物価の推移は、どのような状況になっているでしょうか。