年金制度の真実⑦
「年金制度が大丈夫なのは、わかった。でも、将来もらえる年金は、大幅に減少するのではないか。」と思う方が、当然いると思います。厚生労働省では、5年に一度、年金の財政検証を行っています。2019の財政検証では、現役世代の手取り収入に対する年金の割合は、61.7%ですが、20年後の2039年には、52%に減少することになっています。このことが、「将来もらえる年金は、大幅に減少する。」と受け取られてしまいました。このことについて、実は、たいへん大きな誤解があります。所得代替率は、「年金額÷現役の手取り収入」です。2019年の年金額は、現役の手取り収入35.7万円×所得代替率61.7%=月の年金額22万円です。これを、2039年の所得代替率52%に当てはめると18.5万円になります。これでは、かなり生活が苦しくなります。しかし、財政検証の実際の予想を見ると、2039年は、現役の手取り収入40.2万円×所得代替率51.8%=月の年金額20.8万円となっています。所得代替率が下がるのは、現役の手取り収入が増加するのを前提にしているからです。将来もらえる年金が大きく減少するわけではないことが、おわかりいただけたのではないかと思います。