相続税の小規模宅地特例と家なき子特例について
相応の金融資産とご自宅を東京23区内に所有している相談者様から、ご自宅の相続税の節減について、ご相談を受けました。被相続人である親が亡くなると、いっしょに同居している子供が自宅を相続すると、小規模宅地の特例により相続税の評価額を80%減額できます。例えば、渋谷区笹塚は坪あたり相続税路線価が平均1287万円ですので、30坪のご自宅ですと、相続税評価額は3億8610万円になります。子供2人が相続人の場合、基礎控除は4200万円ですので、3億4410万円に相続税がかかります。納める相続税額は約1億3000万円に上ります。仮に、子供2人のうち、どちらかが相続人と3年以上同居していれば、小規模宅地の特例により相続税評価額は、7722万円まで減額になり、基礎控除を引いた3522万円に相続税がかかります。納める相続税額は、約500万円です。納める相続税額が1億円以上も違ってくるわけですから、小規模宅地の特例を使うことが死活問題になります。それでは、2人の子供が、全て別居の場合は、小規模宅地の特例は使うことができないのでしょうか。実は、「家なき子特例」という制度があり、賃貸マンションなどに住んでいる子供は、小規模宅地の特例を使うことができるのです。その名の通り、家を持っている子供はだめで、あくまで賃貸に住んでいることが条件です。そこで、相談者様には、「お子様は賃貸に住み続けるか、もしくは、親と同居するかのどちらかを選択するのが一番の相続税対策です。」とアドバイスして、ご納得していただきました。