シニアライフは運用しながら取崩し
2019年6月、金融庁は「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書」において、老後に2000万円が不足すると発表しました。最近の物価高に伴い、物価が年3.5%ずつ上昇すると、老後資金は倍の4000万円必要になるとのレポートも見られます。しかし、日銀の「経済・物価情勢の展望」によれば、2024年度の物価上昇率は2.8%、2025年度と2026年度は1.9%との予測です。物価が年3.5%で上昇し続ける前提は現実的とは言えず、こうしたレポートは不安を煽っているだけだと考えます。
2000万円にしても4000万円にしても、単に元本を取り崩すだけで、運用しながら取り崩すという視点が欠けています。例えば、4000万円を運用せずに65歳から毎月10万円ずつ取り崩した場合、97歳で資金はゼロになります。しかし、2000万円を年6%で運用しつつ、65歳から毎月10万円ずつ取り崩すと、97歳時点でもほとんど残高が減ることはありません。シニアライフにおいて、単にいくらお金があれば安心というわけではなく、運用しながら取り崩すという視点が重要であることをご理解いただけると思います。