日銀は短期金利を0.5%に引き上げ
日本銀行は、1月24日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、総裁、副総裁、審議委員9名のうち8名の賛成をもって、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.5%程度で推移させる方針を決定しました。これが、テレビや新聞などで「日銀が金利を0.5%に引き上げた」と報道されている内容の正確な表現です。
今回の引き上げは、昨年2024年7月31日に行われた引き上げよりも高い引き上げ率となっています。ちなみに、昨年7月の引き上げでは、無担保コールレート(オーバーナイト物)が同年3月19日までの0%~0.1%程度から、0.25%に引き上げられました。それにもかかわらず、今回の発表後、株式市場はほぼ平静を保ちました。昨年の引き上げ時には、日経平均株価が4,451円下落し、市場最大の下げ幅を記録したのとは対照的です。これは、日銀が市場との対話を丁寧に重ねた結果であると考えられます。
思い返せば、バブル経済の絶頂期であった1989年5月には、物価が0.5%上昇したことを受けて、当時の公定歩合をそれまでの2.5%から0.75%引き上げました。さらに1990年8月には、2.75%という大幅な引き上げを実施し、公定歩合を6.0%まで引き上げています。この急激な金利引き上げがバブル崩壊の一因になったとも言われています。
これに対し、今回の決定は物価上昇や賃金上昇に見合った適切な引き上げであり、バブル期の金利引き上げとは全く異なる性質を持っています。市場も日銀との対話を通じてこの点を十分に理解しているため、昨年のような大幅な株価下落は起きなかったと考えられます。