再雇用期間で最も年金が増える人とは
厚生年金の受給資格者にとっては、2階部分が厚生年金で1階部分の基礎年金がいわゆる国民年金のことです。さて、国民年金が満額になる年数は、20歳以上から60歳未満までの40年間であることは、おわかりだと思います。したがって、高校を卒業してから、ずっと60歳になるまで働き続けた人は、国民年金を満額受給できます。令和5年度の場合は、795,000円です。しかし、大学に進学された方の大部分は、おそらく、在学中は国民年金の猶予を選択し、国民年金の納付はしていないのではないでしょうか。現役で大学に入り22歳で卒業して60歳未満まで働いた方でも、満額に2年足らないことになります。残念ながら、国民年金そのものは、繰り下げなどをしない限り増やすことはできませんが、再雇用で働くことにより、満額の40年に達するまで、国民年金に相当する金額を、厚生年金の経過的加算で増やすことができます。わかりやすく言うと、国民年金の増加に相当する金額が、厚生年金で増えるということです。例えば、浪人や大学院進学などで25歳から会社に勤めた人は、国民年金の年数は35年間で、満額の40年に5年足りませんが、65歳まで再雇用を5年間続けることにより、40年間に達することができ、その年金額795,000円÷40年×5年の約10万円が、厚生年金の経過的加算額として加算されます。実は、このパターンの人が、再雇用で、最も年金が増える方です。さらに、厚生年金本体部分も5年分増加します。再雇用の年収が400万円の人であれば、約10万増加します。経過的加算部分と本体部分を合計して、年間20万円程度年金が増加します。これが、一生続きます。このことから、年齢をとって就職した人ほど、再雇用で年金を増やすメリットが大きいことがおわかりいただけると思います。