「新NISAはやばい?」という声に振り回されないために

トランプ前大統領の関税発言など、短期的に市場が大きく下落する局面では、必ずといってよいほど「新NISAは危ない」「すぐに他の投資に乗り換えるべきだ」といった不安をあおる情報が飛び交います。普段からも、「オールカントリー一本ではダメだ」とか「インデックス投資は初心者向けでしかない」といった否定的な意見がネット上にはあふれています。

では、なぜこうしたネガティブな情報が次々に出てくるのでしょうか?

私は、その背景には「金融機関にとって新NISAは儲からない」という事情があると考えています。新NISAで扱えるインデックスファンドは手数料が非常に低く、金融機関にとっては収益性が高くありません。そのため、何とかして手数料の高い、儲かる商品を売ろうとするインセンティブが働きます。

しかし、これは裏を返せば、私たち消費者にとっては「損をしやすい商品を売られやすい」ということでもあります。

もちろん、高い手数料を支払っても、それ以上にリターンが得られれば問題ありません。しかし、過去の実績を見る限り、10年以上の長期的な運用においては、アクティブファンドが市場平均を上回る成果を出すことは極めて難しいとされています。

市場は長期的には効率的に働きます。つまり、平均を上回る運用成果を狙えるのは、短期的に市場が乱高下するような特異な局面に限られるのです。

今後、「インデックスファンドだけでは資産形成はできない」と言いながら、怪しい金融商品を勧めてくる人もいるかもしれません。しかし、そうした誘惑に負けず、「新NISAではインデックスファンド以外は選ばない」と心に決めておくことが、詐欺や不要な金融商品から身を守る最善の方法だと思います。