退職金はどうしたらよいか①
前回のコラムで書いたとおり、わたしは、退職金のうち1000万円で「個人向け国債(変動・10年)」を購入しました。
「個人向け国債(変動・10年)」の適用利率(年率)は「10年固定利付国債の市場金利×0.66」に基づき、半年ごとに、そのときどきの「10年固定利付国債」の金利に応じて見直されます。そのため金利が上昇すれば、それに応じて受け取る利子が増えます。当然、金利が下がれば受け取る利子も減りますが、0.05%という適用利率の下限が設定されていますので、それを下回ることはありません。簡単にいいますと、金利や物価が上がれば、3分の2はカバーできるということです。ベストとはいえないまでも、元本と最低金利が保証され、金利や物価の上昇にも3分の2ついていけることは、安全資産の中では、最も優秀な金融商品だと思います。外国の国債でも、これだけ優遇されている個人国債はありません。わたしが購入した2018年は、最低金利の0.05%でした。このときの10年物国債の市場利回りは、0%からマイナスに沈んでいましたが、最低金利が保障されました。2023年に入ると、10年物市場金利の上昇にともない、「個人向け国債(変動・10年)」の金利は、なんと6倍の0.3%を超えてきました。退職金を前々回のコラムように、複雑でリスクの大きい仕組債に投資すると、大きく元本を割り込むことになりかねません。退職金の運用は、元本を保障してくれ、金利、物価の上昇にもある程度ついていってくれる安全な金融商品を考えている方は、「個人向け国債(変動・10年)」で運用されるのも選択肢だと思います。