退職金の多い人には、イデコは向かない?
イデコは、掛け金全額が所得控除されることはご存じであると思います。年収が多く税率の高い人ほど、減額される所得税が大きくなり、有利な制度であることは間違いありません。しかし、出口の受け取りを見ると、どうでしょうか。イデコを受け取る時には、退職所得控除と公的年金控除の特例がありますが、一般には、退職所得控除の方が金額が大きく有利であるといわれています。しかし、大企業や公務員など退職金が多い人は、実は、イデコを受け取る時に、税金が発生する可能性があります。例をあげますと、勤続38年の人が退職金2500万円とイデコ600万円を60歳で受け取る場合、退職所得控除は、退職金とイデコを合算して計算しますので、40万円×20年+70万円×18年で計2060万円です。(3100万円-2060万円)÷2=520万円に対し、所得税と住民税で約110万円の税金が発生します。65歳でイデコを受け取る場合は、イデコの加入期間が退職金と重複しない部分だけ退職所得控除を受けることができますので5年間のみ受けられます。いずれにしても、退職金が多い人は、せっかく、現役時代に、所得控除を受けても、出口で税金が発生してしまいます。わたしは、退職金が多い人は、イデコより、NISAで資産形成を図る方がよいのではと思っています。実は、NISAは、出口で課税されないことがあまり知られていません。新NISAは、非課税期間が無期限になりますので、退職金の多い人にとっては、出口では、イデコよりNISAの方が有利であるといえます。