地方では年金だけでも金融資産が積み上がる

雑誌、SNS等では、「年金だけでは老後暮らしていけない」、「70代で金融資産が枯渇する」、「老後難民にならないためには65歳以降も働くべきである」といったメッセージが溢れているかと思います。わたしには、資産運用をやってもらい手数料を儲けるために、年金だけでは暮らしていけないという危機感を煽りに煽っているように感じます。はたして、年金だけでは暮らしていけないのでしょうか。わたしの高校時代の友人に、父親を香川県の有料老人ホームに入居させた友人がいます。有料老人ホームの費用は、年金だけで十分賄えているそうです。首都圏では、特別養護老人ホームでさえ、年金だけで賄うもが厳しいところもあり、ましてや有料老人ホームを年金で賄えることは、信じられないのではないでしょうか。たしかに、友人の父親は地方公務員を定年対象まで勤め上げ、母親も旧電電公社を定年まで勤め上げましたので、夫が民間企業で妻が専業主婦のケースにくらべると年金額は多いかもしれませんが、ふつうの平均的な地方公務員であり、特別恵まれているわけではありません。最も大きいのは、都会と地方の価格差だと思います。地方だと、住宅の価格は東京と比べると格段に安いことから定年よりかなり前に住宅ローンを完済している人がけっこういます。また、親と同居していて、住宅ローンそのものがない人もたくさんいます。そして固定資産税や物価も安いので、生活費は都会と比べるとあまりかかりません。その結果、夫婦で地方公務員のような世帯は、年金を使い切れずたまり続けるという事態が起こります。わたしの友人も、両親の年金が貯まり続けているので、「どうしたらよいか」と、都会の人からみると、贅沢な悩みを持っています。                                        雑誌、SNS等のメッセージは、都会を基準にしたものであるといえます。