新NISAでの投資商品選びに注意を

新NISAの商品について、「金融庁が長期資産形成にふさわしい商品を選んでいるので安心」と考えている方が多いかもしれません。確かに、市場指数に連動するインデックス型の商品は、長期資産形成に適したものと言えます。

しかし、新NISAで取り扱われている金融商品の中には「ベア」や「インバース」といった言葉が付くものも存在します。これらはデリバティブを活用した仕組みで、市場の下落局面において短期間で利益を狙うための金融商品です。そのため、長期の資産形成には全く適さないと言えます。

例えば、新NISAで取り扱われている「TOPIXベア2倍上場投信」や「日経平均ダブルインバース型上場投資信託」が挙げられます。「TOPIXベア2倍上場投信」は、TOPIXの前日変動率のマイナス2倍に連動する設計です。また、「日経平均ダブルインバース型上場投資信託」は、日経平均株価の前日比変動率のマイナス2倍に連動します。

しかし、これらの商品は長期的な運用に向かないことが過去の実績からも明らかです。2020年から2025年の期間において、「TOPIXベア2倍上場投信」は約15倍、「日経平均ダブルインバース型上場投資信託」は約9倍の下落率を記録しました。例えば、300万円を投資していた場合、それぞれ約20万円、33万円まで価値が減少してしまった計算になります。

市場は長期的には上昇する傾向があります。そのため、長期間にわたり「下落時の利益を狙う」ような商品に投資すること自体が、長期資産形成の目的にそぐわない行為です。

これから新NISAを利用して資産運用を始める方は、このような商品には手を出さないよう十分にご注意ください。長期的な資産形成を目指すのであれば、適切な商品選びが重要です。