GPIFの運用成果は予想以上?
私たちの年金資産の運用は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が担っています。今から約15年前、テレビや週刊誌では「日本の年金は将来破綻する」と盛んに煽られていました。その根拠とされたのは、当時の某大学の有名教授による「厚生年金は2033年に、国民年金は2037年に枯渇する」という予測でした。その理由として挙げられたのが、GPIFが設定している4.1%という運用利回りが高すぎて実現不可能であり、非現実的であるというものでした。
当時、この論調は大きな影響力を持ち、多くの人々の不安を煽りました。しかし、現在のGPIFの状況はどうなっているでしょうか。
GPIFの総資産残高は、2001年度には92兆4305億円でしたが、2023年度までの累計運用収益は155兆円を超え、総資産残高は248兆2274億円に達しています。いつの時代も、テレビや週刊誌は将来不安を煽る傾向がありますが、そうした論調に便乗して「年金は当てにならないから、自分で個人年金を作りましょう」と主張する者たちは、今も後を絶ちません。
では、GPIFは4.1%の目標利回りを達成するために、何か特別な高度な運用を行っているのでしょうか? 実際には、国内債券、国内株式、海外債券、海外株式の4資産にそれぞれ1/4ずつ配分し、長期分散投資を行っているだけです。シンプルなインデックス運用を続けた結果、GPIFは累積利回り4.3%を達成しています。事実、長期的な視点では、高度なアクティブ運用よりも、シンプルなインデックス運用の方が安定した成果を上げています。
ちなみに、MSCI ACWI(オールカントリー)の1987年12月から2023年12月までの年平均利回りは8.24%です。これは、資本主義経済の市場が短期的には暴落と急騰を繰り返しながらも、長期的には上昇し続ける特性を持つためです。
資本主義市場の本質を理解すれば、GPIFの運用が合理的であり、破綻とは無縁であることがわかります。