年金制度の真実③
今から15年くらい前、「年金の積立金は、2020年代の後半にも枯渇する」と、大学教授や週刊誌などが恐ろしいまでにかき立てていました。しかし、15年後の現実は、どうなったでしょうか。2023年4月期から6月期のGPIFの年金運用の黒字は約19兆円で、2023年6月末時点の年金積立金残高は、枯渇どころか、219兆1736億円に達し過去最高です。GPIFの年金積立金は、あくまで、現役のサラリーマンなどの仕送りで足りない場合に、取り崩すためのバッッファーです。厚生労働省発表の2022年度の年金の収支決算は、厚生年金が6887億円、国民年金が1075億円の黒字ですので、GPIFの年金積立金を取り崩すまでもありません。15年前に、「年金積立金は枯渇する」と盛んに煽った大学教授などの予測は、完全に外れました。「公的年金は、当てにならないから、個人で準備するべき」という無責任な危機感を煽る意見には、惑わされてはいけないと思います。民間の生命保険会社が、公的年金の給付水準と同じだけの個人年金を亡くなるまで支給するのは、不可能です。老後の生活の柱は、あくまで公的年金であることを絶対に忘れてはいけないと思います。